幼なじみは狐の子。5〜親衛隊と恋〜
「媚薬?」
宗介が聞き返すと、律は頷いた。
「好意を移して増幅する媚薬です。こんな予定じゃなかったんですけど。効きすぎて恋が別人になっちゃって。僕はもっといつもの恋に好きだって言わせる予定だったんです。」
「媚薬……」
「分量間違えて。なんか切り札入れ過ぎたみたいで。恋が人形みたいになっちゃって。そんな効果あったのかな。予定外です。」
暗い目をして喋らない恋。
宗介はそこで、思い切り律の顔を殴った。
「恋を直せ。今すぐに!。」
「いってぇ……大損。僕はこんな予定じゃなかったんだ。」
倒れかけた律は頬を抑えて呟くとため息を付いた。
「……」
「それ、治りませんよ」
律が冷たい目をして言った。
宗介がもう一発入れようとすると、律は顔をかばって、大声で言った。
「分かりました!」
律は怒り笑いすると、
「治りますよ。言っただけです。じき効果は切れます。ったく暴力。あーおっかな。」
と言って笑った。