幼なじみは狐の子。5〜親衛隊と恋〜

おまけ 黒白王子決定戦

黒白王子決定！（見出し）
西中新聞部は、今年も学校の黒王子と白王子を決める投票を行った。
エントリーされたのは3学年から10名。
いずれも個性派の王子たちばかり。
投票結果は中間投票と同じ倍率で、2名の王子が圧倒的数の票を占めてライバル達に大差をつけこの戦いを制覇した。
今年黒王子に輝いたのは、2−1の上野宗介くん。
上野くんは、1年の時の体育祭の二人三脚から、この新聞のメインを務めているホープである。
サラサラの黒髪、冷たい眼差し、きっと結ばれた口元など、女の子を射抜く特徴だらけの上野くん。
今回の勝利は、誰もが予想したものだった。
新聞部は、上野宗介に勝者へのインタビューを行った。
新聞部：黒王子決定おめでとうございます。
上野：げ。（迷惑そうな顔をして）
何ですかいきなり。僕に何か用ですか。
新聞部：280票入っての黒王子決定に、どう思われましたか？一言どうぞ。
上野：黒王子って？

（上野くんは新聞部の黒白王子投票の事を知らなかった）

上野：いつもいつも人に変な名前付けて呼んで、何なんですか。もう帰ってください。新聞で良い思いした事なんか一度もないんだから。言っとくけど写真撮ったら訴えますよ。
新聞部：そうおっしゃらず。
趣味は読書と宅習、好きな食べ物はショートケーキでエントリーされてましたが、プライベートはどう過ごしてるんですか？
上野：（怒り笑いで）誰がエントリーした？。
エントリー取り下げてください。多分加納先輩達が勝手にしたんだ。どこで調べたんだ？。ほんと迷惑。
新聞部：280票入れたファンたちに一言お願いします。
上野：ファンもなにもない。エントリー取り下げろって言った。いい加減にしてください。

上野くんは、足音荒く教室を出ていった。

一方混戦の白王子、白王子に輝いたのは樋山美風くん。
奇しくも両王子とも去年の体育祭の報道から新聞のメインを務めている学校の超有名人。
三角関係の報道で話題を集めている本人たちでもある。
亜麻色の天然パーマの癖っ毛、薄い色の瞳、甘いニュアンスなど女の子の憧れの正統派を連想させる樋山くん。
中間投票から、今回白王子の大本命と言われて勝利は圧巻。
新聞部は、樋山美風くんにも勿論インタビューを行った。

新聞部：白王子決定おめでとうございます。
樋山：……なんですか。（怪訝そうに）
新聞部：301票入っての白王子決定に、どう思われましたか？一言どうぞ。
樋山：ああ、学校の投票？。なんかあったな。それ僕なんですか？何の投票ですっけ？
新聞部：白黒王子の投票で、白王子の当選です。
樋山：……。白王子？。僕が？。馬鹿な事言わないでください。加納先輩と石巻先輩だな。また変なことやって。写真撮らないでくださいね。撮られるの嫌いなんだから。
新聞部：そうおっしゃらず。
趣味は走る事と写真、好きな食べ物はカレーでエントリーされてましたが、プライベートはどう過ごしてるんですか？
樋山：言いません。胡散臭い新聞に。誰がエントリーしたんだ？。迷惑な。エントリー取り下げて欲しいんですけど。
新聞部：301票入れたファンたちに一言お願いします。
樋山：この投票絶対写真載せただろ。腹立つ。ファンも何もない。肖像権の侵害だ。（カメラを避けて）ちょっと撮らないでって言ってるだろ！もう帰ります。僕に構わないでください。

樋山くんは逃げるように教室を出ていった……。



おわり