コイ、アイ。
🩵 初恋は夜に溶けて[完]

#1



月は見えなかった。

私の涙を照らすことすら、してくれなかった。

誰かを好きになって、本気で誰かを想ったことははじめて。

「初恋は実らない」だなんて、ただのおとぎ話の中の言葉だと、思っていた。

朱雨(しゅう)くんは、私のことは選ばなかった。


「ごめんね、僕、好きな人いるんだ」


吐きそうなほど緊張して、なんとか絞り出した「好きです」の文字を、優しく破いて。

きっと、最初からこうなる運命だった。

…のに、未だに諦めがつかない自分がいる。

また、涙で視界が滲んできた。

さらりと、夜風が私の髪を撫でる。

私の初恋は夜に溶けた。

(るな)ちゃん、ありがとう。僕を好きになってくれて」

最後の最後まで完璧だった朱雨くんの言葉を思い出して。

やっぱり、私が想った人は最高にカッコいい。

大好きです、朱雨くん。

だから、あと少し、あと少しだけ、


好きでいさせてください。
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