訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
今や要さんは最強の殺し屋に化している。

「亜湖ちゃん? どうしたの?」

「……………」

「もしかして照れてる?」

「……………」

「あ、耳が赤くなってる。うっわ、可愛い。ちょうど昼食も食べ終わることだし、もう1回ベッド行く?」

その瞬間、私はガバリと体を起こした。

このまま要さんのペースに翻弄されていたら、心も体ももたない。

私は急速に頭を冷やし、スンと真顔になって要さんを見つめた。

「ところで要さん、電話も入れ終わったことですし、そろそろ改めて話をしましょう。昨日聞きそびれた件、説明してくれますよね?」

空気を切り替えるように、殊更ビシッとした口調で私は告げる。

要さんは小さく笑いながら「残念」と零すと、真面目な顔になって私に向き合った。

「もちろん。どうやって俺がお見合いを知ったかだったよね」

お見合いの場から飛び出してから、すでに24時間以上が経っている。

ここにきて、ようやく事情を聞くための話し合いが始まった。

そして、話し出した要さんの口から飛び出したのは、思いもよらぬ数々の驚きの事実だった。


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