訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
だけど最初に私の目に飛び込んできたのは、葉山さんの反応ではなく、原稿とは全く関係のない彼のある部分だった。

 ……うっわー。男のくせにまつ毛めっちゃ長い。手も綺麗。

文章を読むために視線を伏せたことで、長く黒いまつ毛が目元に影を落としていた。

紙を持つ手の、長くすらっと伸びた指や、筋張った手の甲からは男らしい色気が滲む。

 ……顔も、手も綺麗とかズルイよね。雰囲気もスマートでオシャレだし。

付け加えるならば、スタイルも抜群だ。

身長はたぶん180cmを超えてるだろうし、洋服をスタイリッシュに着こなせる引き締まった体をしている。

円香さんがうっとり頬を染めていたのも無理ないのかもしれない。

 ……でもそんな極上イケメンが描く恋愛小説はツッコミどころ満載なんだよねぇ。

そう、実は葉山さんの小説、ペンを握る私の手が止まらなくなるほど意見したくなる箇所が多かったのだ。

ニューヨークのホテルで夢中で書き殴った時のことを私が思い返していると、最後まで読み終えたのかその時葉山さんがふっと顔を上げた。

その顔には複雑な心情が見て取れる苦笑いが浮かんでいる。

「ちょっとボロクソすぎました?」

「……いや、すごく参考になった。ただ、まぁ容赦なさすぎて驚きはしたけど」

遠慮なくボロクソ言って欲しいと自らリクエストしていた葉山さんが「容赦ない」と評する私の読書感想文。

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