訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
ワクワクという言葉が聞こえてきそうな、期待を滲ませた瞳を向けられ、私は睨み付けるような眼差しで最終意思確認を行う。

これは念のためだ。

好き勝手言って後から面倒な事にならないよう、私なりの保身である。


「それはもちろん! それじゃあさっそく――」

――バサッ!

「はい、どうぞ!」

ハッキリと言質を取るやいなや、私は葉山さんの言葉を遮ってテーブルの上に感想を書き殴った紙を叩き付けた。


「ん? これって……?」

「拾ってくれたノートのように、紙に綴られた状態でボロクソ言われるのがお好みなのかなぁと思って、わざわざ書いてみました」

ここであえてニッコリ微笑んでみる。

葉山さんは私の行動が予想外だったのか、軽く目を見張っていた。

意表を突けたようで、してやったりである。

「まさか紙に書き出してくれるとは思わなかったな。やっぱり来栖さんに頼んで良かったよ。さっそくここで読ませてもらっていい?」

「どうぞ、どうぞ」

私が了承すると、葉山さんはテーブルの上の紙を手に取り、じっくりと目を通し始めた。

その様子を香り高いコーヒーを堪能しながら、私はゆったりとした心地で観察する。

本気で忖度なしに思ったままを書いたから、どんな反応をするのか楽しみでならない。

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