訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
だが、30歳である俺の相手といえば、同年代の経験豊富な女性だ。

酸いも甘いも知り抜いている彼女達からすれば、満たされず、ガッカリするだけなのだろう。

 ……やっぱり結婚への道のりは険しい。


とはいえ、来栖さんによる恋愛コンサルで着実に俺は女心を学びつつある。

彼女は期待通り、遠慮なくビシバシと指摘してくれる。

しかもその説明も意外と丁寧で分かりやすく、理解しやすい。

さすが普段から多種多様な人に応対している客室乗務員なだけあると思う。

 ……それに一緒にいて楽だしね。

来栖さんは俺に何も期待していない。

外見に惹かれるでも、名の知れた小説家という肩書にすり寄るでもない。

淡々と依頼された恋愛コンサルをこなしている。

それが存外心地良かった。

俺の至らなさに対してガッカリするのではなく、呆れつつもどう説明したら伝わるだろかと真剣に頭を悩ませている姿が面白い。

さながら面倒見のいい熱血教師だ。

 ……次のテーマは“夜デート”って言ってたっけ? 1回1回状況設定をして進めるあたりも教師っぽい。


ふふっと小さく笑いを零しながら、俺はマグカップを片手にキッチンへと向かった。

その翌日、仕事の早い坂田さんからさっそく取材セッティングが完了した旨の電話が入った。

アポイント日は3日後。

取材先はJP航空だった。


◇◇◇


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