訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
くしゃりとした無邪気そうな笑みは、いつもの大人っぽい雰囲気とは違い、屈託のない明るい少年のようだ。

そのギャップにちょっとだけドキッとしてしまった。

 ……えっ、一瞬だったけど、私が葉山さんにときめいた!? 

思わぬ不意打ちにやや動揺する私だったが、そのことに対して深く考える機会は残念なことに奪われてしまった。

というのも、違う衝撃が私を襲ったからだ。


「あ、店が見えてきた。あそこの角の店だよ」

話しながら歩いているうちに、予約してくれたお店が近づいてきて、葉山さんが私に教えてくれたのだが……

「ええっ!? チェーン系の大衆居酒屋!?」

ランチに続き、またしても意外なお店のチョイスに私は声を荒げ、目をぐわっと大きく見開いた。

 ……いやいやいや、えっ、ここ!? もちろんチェーン系の大衆居酒屋が悪いってわけじゃなく。ただ、デートでここ!?


「もしかして……また女心に沿わない感じだった?」

私の反応から女心的にはNGだったと悟ったらしい葉山さんの声のトーンが沈む。

いつもの如くツッコミたいところだが、店の前で立ち尽くすのは微妙だし、予約もしてくれているので、それは後回しだ。

とりあえず私は葉山さんを促してお店に入ることにした。

予約席に腰を下ろし、ビールを注文して乾杯。

ゴクゴクと喉の渇きを潤したところで、ようやく私は口を開く。

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