訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
「あの取材自体、決まったのが3日前とかそれくらいでね。担当編集者の坂田さんが俺のリクエストに応えて急遽JP航空へ交渉して取材を組んでくれたんだ」

「そうだったんですね。ていうか次回作、飛行機が舞台の予定なんですか? それは航空業界の人間として楽しみです。……まぁ私、実は葉山さんの小説読んだことないんですけど」

取材の日の裏事情を教えてもらいスッキリした私は、最後にポロリと実は今まで言っていなかったことを暴露した。

それに対し、葉山さんは一瞬目を丸くすると、次の瞬間プッと勢いよく吹き出した。

「はははっ、このタイミングで言う? 『花山粧』自体は知ってたから読んでくれたこともあるのかと思ってた」

「名前は知ってますよ、有名ですし。『真夏の陽炎』もドラマは観たことありますよ? でももともとあんまり本を読む方じゃなくって」

「じゃあ俺が恋愛小説の原稿を渡した時、読むの大変だったんじゃない?」

「その通りですよ! ぶっちゃけ「はぁ!?」って思いましたしね。読書習慣がないんで、あれ読むのにも時間かかって1週間近くかかりましたから。ニューヨークにも持って行ったんですよ?」

「ははっ、本当に? 全然知らなかった。今更だけどあの時はありがとう。気持ちいいボロクソ具合だったよ」

私が色々カミングアウトすると、葉山さんは目に涙を滲ませて可笑しそうに笑う。

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