お父さんが魔導士だなんて、聞いてない!
「ゆのは、目を開けていいよ。紹介したい人がいるし」
 その言葉に従って、私はゆっくり目を開けた。
「うわっ」
 きらきらと華やかな室内。シーリングライトではなくシャンデリアが天井からぶら下がっている。壁にもどこか金色が交じっていて、お姫さまがいるようなお部屋だ。だけど、本棚がびっちりと並んでいる。その本も、どこかきらきらしているように見えた。
 そしてお母さんと話をしていた人は、結婚式のお呼ばれのような、青いドレスを着ていた。それに顔も、どこか西洋風。金髪碧眼とよく言うけれど、まさしくそれ。金色の髪をポニーテールにしていて、手には本を抱えている。
「ゆのは。この人が、昔、お母さんと一緒に魔王を倒したヴィヴィアン。ヴィヴィ、この子が私の娘のゆのは」
「あ、はじめまして。お母さんがお世話になっています。霧島ゆのはと言います」
 ヴィヴィアンさんは、ぽかんと口を開けたまま私とお母さんを交互に見つめた。
「え? えええ? む、娘? って、ちょっと、ごめん……ユノハ……だっけ?」
「は、はい」
 ヴィヴィアンさんのような綺麗な人に名前を呼ばれて、ドキリとしてしまった。
「お父さんの名前、知ってる?」
「お父さんの名前……確か……えっと……なんだっけ?」
「娘には、あまり教えてないのよね~」
 お母さんは、ケラケラ笑っている。つまり、笑ってごまかしている。
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