お父さんが魔導士だなんて、聞いてない!
「俺が言いたいことはそういうことではない」
「じゃ、どういうこと……?」
「だから! 十年だ。おまえがいなくなって十年……俺が、どんな気持ちで生きていたか、わかるか!」
「わからない。だってゼノって、大事なこと、いつも言ってくれないじゃない? だからわからない。あのときもそれで私を怒らせたんじゃなかった?」
「くっ……」
 ゼノさんが悔しそうに言葉を詰まらせた。
 この場をどうしたらいいのだろう。
「お母さん……」
「あ、ごめん。ゆの。一応、この人がお父さんね。名前は……」
「ゼノビア・アストレイド。魔導士だ。おまえの魔力は、間違いなく俺から引き継がれたもの」
 お母さんの言葉の先を、ゼノさんが奪った。どこかぶっきらぼうだったけれど、嫌な感じはしなかった。
「霧島ゆのはです。よろしくお願いします」
 ゼノさんは、じぃっと私を見つめてくる。
「ヴィヴィ。サツキに住む場所を用意する必要はない」
 だが答えたのはお母さんだった。
「ええっ? ちょっと、もしかして私たちの話、聞いてたの? 女同士の話を盗み聞きするなんて」
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