魔力が消える前に、隣国の皇帝と期限付きの婚約を交わす
「セレーヌ様、エルバトリアでは魔力をお使いにならないでくださいね。」
「どうしてですか?」
「あなたの魔力はヴァルドラードでお使いください。」
思いがけずきゅんとしてしまった。皇帝陛下のそばにいるから忘れてしまいそうになるけれど、ランスロットさんだって私よりずっと強い魔力を持っている。今はランスロットさんの言葉に甘えておこう。
「今日はランスロットさんが守ってくださるのですね!見かけによらずカッコいいんですね!」
「げほっ、そんな大層な意味ではありません。念のためこの魔法石をおつけください。」
「これは何の魔法石ですか?」
「セレーヌ様をお守りします。」
ランスロットさんは魔法石のペンダントを首にかけてくれた。馬車は、裏庭から少し離れた静かな場所に舞い降りて、私とランスロットさんが降りるとキラキラと輝いて消えた。
「皇帝陛下の魔力って衰えることはないのですか?この馬車を作るのも相当な魔力を使いますよね?」
「疲れることはあると思いますよ?」
「どうやって魔力を回復させているんですか?結界も張っているわけですし、ずっと魔力を使い続けていますよね?」
「それは、ヴァルドラードの国民を……」
「だ、だからやめてくださいっ!」
「ははは。」
そんなこと絶対ないと思うけど、皇帝陛下のことはまだよく知らない。本当か嘘か判別がつかないから本当にやめて欲しい。廊下に出ると、母がお城の壁をじっと見上げていた。
「お母様!」
母は私とランスロットさんを見るなり駆け寄ってきた。
「セレーヌ、どうして来たの?来るなって書いたでしょ?ランスロット様、申し訳ありませんが、今すぐヴァルドラードへお戻りください。殿下はご自身の魔力をセレーヌに抑えてもらいたいだけなんです。」
「今日は、ランスロットさんが私を守ってくれるから大丈夫よ。エルバトリアでは魔力を使わないわ。」
「このまま放置していても、しつこく手紙が届くばかりで埒があきません。一度、王太子殿下とお話をさせてください。」
「まさか、私たちの手紙が初めてではないのですか?」
「はい。大量に頂いております。『セレーヌを返せ』『セレーヌを奪いやがって』などというお手紙が。」
「もう、なんなんですかあの人は!」
母の目がギラりと光って体から突風が吹きだした。
「お母様、落ち着いて!」
「セレーヌ、客間で待っていてちょうだい。陛下と殿下をお呼びしてくるわ……」
母が見ていた壁を見上げると、大きなヒビが入っていた。
「これって、ステファン様の魔力ですよね。」
「いろんなところが破損していますね。」
私がいたときはお城にヒビが入るなんてことはなかった。ステファン様の魔力はお城の魔力使いでも抑えきれていないのだろう。手を握りしめると、ランスロットさんにそっと遮られた。
「魔力はお使いにならない約束ですよ?」
「そうなんですが……」
見過ごすことはできない。
「仕方ありません。他国の城で魔力を使うのは控えたかったのですが……」
そう言ってランスロットさんはくるりと指で円を描いた。その一瞬で、見える範囲の全てが生まれ変わったかのように綺麗に蘇った。
「すごい!どんな魔力を使ったのですか!?浄化の魔力ではありませんよね?こういう時はどんな魔力を使うのですか?」
「いや、これは……」
迷惑そうにするランスロットさんに構わず、私は魔力の使い方をしつこく聞き続けた。
「どうしてですか?」
「あなたの魔力はヴァルドラードでお使いください。」
思いがけずきゅんとしてしまった。皇帝陛下のそばにいるから忘れてしまいそうになるけれど、ランスロットさんだって私よりずっと強い魔力を持っている。今はランスロットさんの言葉に甘えておこう。
「今日はランスロットさんが守ってくださるのですね!見かけによらずカッコいいんですね!」
「げほっ、そんな大層な意味ではありません。念のためこの魔法石をおつけください。」
「これは何の魔法石ですか?」
「セレーヌ様をお守りします。」
ランスロットさんは魔法石のペンダントを首にかけてくれた。馬車は、裏庭から少し離れた静かな場所に舞い降りて、私とランスロットさんが降りるとキラキラと輝いて消えた。
「皇帝陛下の魔力って衰えることはないのですか?この馬車を作るのも相当な魔力を使いますよね?」
「疲れることはあると思いますよ?」
「どうやって魔力を回復させているんですか?結界も張っているわけですし、ずっと魔力を使い続けていますよね?」
「それは、ヴァルドラードの国民を……」
「だ、だからやめてくださいっ!」
「ははは。」
そんなこと絶対ないと思うけど、皇帝陛下のことはまだよく知らない。本当か嘘か判別がつかないから本当にやめて欲しい。廊下に出ると、母がお城の壁をじっと見上げていた。
「お母様!」
母は私とランスロットさんを見るなり駆け寄ってきた。
「セレーヌ、どうして来たの?来るなって書いたでしょ?ランスロット様、申し訳ありませんが、今すぐヴァルドラードへお戻りください。殿下はご自身の魔力をセレーヌに抑えてもらいたいだけなんです。」
「今日は、ランスロットさんが私を守ってくれるから大丈夫よ。エルバトリアでは魔力を使わないわ。」
「このまま放置していても、しつこく手紙が届くばかりで埒があきません。一度、王太子殿下とお話をさせてください。」
「まさか、私たちの手紙が初めてではないのですか?」
「はい。大量に頂いております。『セレーヌを返せ』『セレーヌを奪いやがって』などというお手紙が。」
「もう、なんなんですかあの人は!」
母の目がギラりと光って体から突風が吹きだした。
「お母様、落ち着いて!」
「セレーヌ、客間で待っていてちょうだい。陛下と殿下をお呼びしてくるわ……」
母が見ていた壁を見上げると、大きなヒビが入っていた。
「これって、ステファン様の魔力ですよね。」
「いろんなところが破損していますね。」
私がいたときはお城にヒビが入るなんてことはなかった。ステファン様の魔力はお城の魔力使いでも抑えきれていないのだろう。手を握りしめると、ランスロットさんにそっと遮られた。
「魔力はお使いにならない約束ですよ?」
「そうなんですが……」
見過ごすことはできない。
「仕方ありません。他国の城で魔力を使うのは控えたかったのですが……」
そう言ってランスロットさんはくるりと指で円を描いた。その一瞬で、見える範囲の全てが生まれ変わったかのように綺麗に蘇った。
「すごい!どんな魔力を使ったのですか!?浄化の魔力ではありませんよね?こういう時はどんな魔力を使うのですか?」
「いや、これは……」
迷惑そうにするランスロットさんに構わず、私は魔力の使い方をしつこく聞き続けた。