溺れるほど甘い、でも狂った溺愛


昼過ぎ。

アトリエと住居が一緒になった煌の家に向かった。

白い壁に光が柔らかく反射して、絵の具とコーヒーの香りが混ざっている。


「ようこそ、真白。こっちへどうぞ」


エプロン姿の煌が、カップを二つ持って現れた。

その姿がどこか自然で、でも少しだけ“特別”に見えた。


「コーヒー、苦くないといいけど」

「大丈夫。……なんか、こうしてると不思議」

「何が?」

「普通に、家で会ってるのが。今までは仕事に関することで会ってたから」

「確かに。そうだな」


煌は、わたしのカップに砂糖を入れながら、軽く微笑んだ。

その目が、少しだけいたずらっぽい。


「真白のそういう顔、いいな」

「……どういう顔?」

「照れてる顔」


言葉のあと、ふいに距離が近づく。

次の瞬間、首筋に温かな気配が触れた。


「――っ、ちょ、煌っ……!」

「真白のにおい、好き。甘くて落ち着く」

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