溺れるほど甘い、でも狂った溺愛


わたしは一瞬言葉を失い、鍵を見つめた。

金属の小さな輝きが、夕陽の中で温かく光る。


「……そんなこと、急に言われたら……」

「困る?」

「困らない。むしろ、嬉しすぎて心が追いつかない」


煌の指が、そっとわたしの頬に触れる。


「これからもずっと一緒にいたい。描く時も、食べる時も、眠る時も――全部、真白と分け合いたい」


その声は静かで、けれどどんな約束よりも強かった。

わたしは鍵を握りしめ、小さく笑う。


「……わたし、これからも煌のそばで作っていくね。ケーキも、時間も、想いも。全部」

「うん。僕も描くよ。真白のいる“日常”を」


ふたりの影が、ゆっくりと重なる。

夕暮れの空には、まるで物語の続きを祝福するように、金色の光がやさしく滲んでいた。



~END~

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