溺れるほど甘い、でも狂った溺愛
(まさか……これが、あの“味をきっかけに描いた絵”?)
スクロールを進めると、開催期間と会場の住所が書かれている。
思わず指が止まった。
――この街。
思っていたより、ずっと近い場所だった。
「真白ちゃん、どうしたの?」
声に顔を上げると、芙美子さんが心配そうにこちらを覗き込んでいた。
「えっ……あ、なんでもないです。ちょっとニュースを見てて」
「ニュース?」
「はい。神城さん――神城煌さんの個展が開かれるみたいで」
「あら、そうなの!?あの人の絵、私、好きなのよ」
芙美子さんは嬉しそうに目を細める。
「前に小説の表紙を描いてたって言ったでしょ?あれ、ほんとに綺麗だったわ」
芙美子さんは懐かしそうに微笑んだ。
「行ってみたら?」
「えっ……わたしが?」
「だって、気になっているんでしょう?それにこの近くで開かれるみたいだし」
(……気になっている、か)
そう言われると返す言葉に困った。
“気になってはいる”けども――
(なんでこんなに気になるのか、わからない)