無口な忠犬くんは心の声がダダ漏れ。
#1 久々の登校なのに…!
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撮影が終わり、丁度お昼ご飯のタイミングで蓮と一緒に登校した海。
「ねぇ蓮…私が真剣に撮影してた時寝てたんでしょ」
「…寝てないけど」
「寝癖ついてるんですけど?」
「マジで?どこ。直して」
そう言って私の目線に合わせて頭を下げてきた蓮の髪を直してあげていた時。
「海ちいさすぎ。もっと身長伸ばしてよ 俺腰痛いんだけど…」
「蓮がでっかいの!!何食べたらこんなでっかい男になるわけ!?顔は可愛いのにさぁ…」
(相変わらず手小さいな…俺が触っただけで折れそう)
まただ。そう思って蓮の頬を掴んで自分の目線に無理やり合わせると
「?なに」
「こんな可愛い顔なのに………」
「(可愛いのは海だけど)」
本当にため息が出る。こんなに可愛くて純真無垢な顔をしているのに心の中の声はとてもとても重い…執着に近い愛情を私に向けていること。
「分からない方が幸せだった気がする…」
ふたりでダラダラ話しながら教室に向かう階段の踊り場を通ろうとした時。何やら大きい声が聞こえてきてそっと影に隠れる
「海、どうし…」
「まって!なんか面倒くさそうだから別のところから…」
「私が好きだって先に話してたのに…告白されたって!?酷いよ…親友だと思ってたのに…中学の時男好きだったって話は本当みたいだね?」
そんな話が聞こえてきた。
我慢出来ずに、蓮の制止を無視して階段をのぼっていく。
「こんな人目が多いところでする話じゃないでしょ…」
「あ、天宮さん!?それに…朝日くんまで…。ご、ごめんなさい!」
そう言って声を荒らげていた女の子は慌てて教室へと逃げていった。
「あの…助けてくれて」
「いや、助けたとかじゃなくてここで話すことじゃないでしょ?私たちも教室へ行きたかったの。ね?蓮」
「あぁ。海の言い方キツイかもしんないけど深く考えてないから。許してやって」
「う、うん…」
「ちょっと!?!なんなのそれ!?」
「(なんで毎回自分からトラブルに巻き込まれに行くんだか…)」
「(海だけじゃ危ないし俺がいる時でよかった)」
相変わらず私の心配をしている蓮と、その横にいた女の子の心の声が聞こえてくる。
「(天宮さん…近くで見ても綺麗…それに朝日くんと話せるなんて…もう少し話してみたいんだけど…どうしよう)」
「そう言えば私!友達に教科書を借りる約束をしてたんだった!!先に行くから!蓮!」
「…は?海!!置いてくなって!!」
よし!!私にしてはナイスアシスト…!なんて考えながら教室へ向かうと後ろから走ってくる音が聞こえてくる
「…み、海!!!」
「蓮…?なんで、あの子は…」
「ん?あぁ、向こうも教室行く時間だろ。なんで置いてくんだよ?」
「いや蓮ももう少し人との交流を…」
「それ、海が言う?友達に教科書を借りるとか海に限って有り得ない話だろ」
「また余計なことを…!」
怒っている私を見て悪戯っぽく笑う蓮。
周りからはまた喧嘩してるよ…なんて呆れたようなこえもきこえてくる。
「(別に俺は海がいたらいいし…)」
「(もしかして俺の知らないとこで教科書を貸し借りできる関係の友達がいるとか…?いや、海に限ってそんなの無いか)」
“俺には海がいたらいい”
小さい時に蓮に言われた言葉。
未だにそう思ってるなんて…頑固なのか一途なのか。
思わず笑みがこぼれる。
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