メリーでハッピーなトゥルーエンドを
「さあ? 俺から言えることはねぇな」
「うそ。ぜんぶ知ってるでしょ」
「知ってたとして言わねぇよ。気になるなら自分で考えてみれば? それくらいなら付き合ってやる」
相変わらず飄々と、そして愉しげにそう言って笑みを深める御影。
やっぱり、全容を把握しているのは確かみたい。
「うーん……少なくとも柊先輩の仕業ではないよね。先輩もあの子、玲ちゃんのこと捜してたみたいだったし」
「どうだかな」
付き合ってやる、と言いつつまともに受け答えする気はないらしく、御影は適当な相づちを打つばかりだ。
彼に考えを披露しているというよりは思考を口に出すことで、ぐちゃぐちゃに絡み合った頭の中の糸をほどきたかった。
だけど、その端くれすら掴めない。
どこから考えればいいのかも分からなかった。
黙り込んだわたしにしびれを切らしたのか、御影が口を開く。
「おい。それより、カナ。今日は簡単にくたばるなよ。あっけなく殺されるんじゃつまんねぇよ」
ふいに刺されたみたいに心臓が沈み込む。
真白先輩の冷徹な瞳を克明に思い出し、ぞくりと背筋が凍りつく。
あのとき、彼女が指を鳴らした次の瞬間、わたしは宙へと投げ出されていた。
なす術なく地面に叩きつけられたあの衝撃が、身体の芯に染みついている。
激痛と苦しみにもだえながら、動けないで意識が遠のいていく感覚。
あんなの、もう二度と味わいたくない。
「……でも、どう考えてもおかしい。わたしや郁実が死ぬ運命で、それが強制的なものだとしても。あれはさすがにありえない」
いずれかが、もしくはどちらもが命を落とすように、残酷な神さまがシナリオを無理やり“修正”してしまうのかもしれないけれど。
前に郁実が血を吐いて倒れた以上に、不自然としか言いようがない。
「だって、真白先輩が指を鳴らして……それが合図だったみたい」
窺うように御影を見やると、彼は何も言わずににやりと口の端を持ち上げた。
その不敵な笑みに嫌な予感が掠める。
「まさか……悪魔って、あなた以外にもいるの?」
思いついたままのことを口にすると、当然のように頷きが返ってきた。
「もちろんだ」
「それなら、もしかして真白先輩も……」
「いや、あいつはちがう。それよりもっとたちの悪ぃ存在だ」
ほとんど確信を持っていたのに、あっさりと否定されてしまった。
どういうことなんだろう。
もっとたちの悪い存在っていったい何なのだろう?
とにもかくにも、わたしは“昨日”、真白先輩に殺されたということになる。