真っ黒な先輩の溺愛なんて想定外です〜完璧な先輩に私の隠しごとがバレました〜

見知らぬ天井


 ──ん……眩しい……。
 
 カーテンの隙間から差し込む光に当てられて、私はぼんやりと目を覚ました。
 肌を包むのは柔らかいベッドの感触。そして、見覚えのない天井。

「……え、ここ、どこ……?」

 身体を起こした瞬間、ずきんと頭が痛んだ。昨夜の記憶が、ところどころ霞んでいる。

 ──昨日は、会社の飲み会で……それから……。

 断片的な記憶をたどろうとした瞬間。

「起きたか?」

 聞き覚えのある低い声に、はっと顔を上げる。
 ベッドのすぐ横にあるテーブルに、(かけい)先輩がいた。
 先輩はスウェットを着ていて、髪も仕事のときみたいにセットされていない。そして握られているマグカップからは、ほのかにコーヒーの香りがする。
 まるで先輩の家みたいな、そんな錯覚さえ覚えるように先輩の姿はこの部屋に馴染んでいる。

 ──そんな、はずないよね……。

 私は恐る恐る訊ねた。
 
「……あの、もしかしてここって、先輩の……」
「お前、覚えてないのか?」

 それがどういう意味なのか理解するのに、そう時間はかからなかった。

「……っ、うわああ」

 気づいたら、私は情けないくらいの声で叫んでしまっていた。
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