明治、契約の夜に咲く恋─御曹司の溺れるほどの愛
「ごめんなさいね。慰謝料は渡すから。それで今後の生活をどうにかしてちょうだい。」

そう言ってお姉様は、小切手を私の前に差し出した。

「少ないかもしれないけど、受け取ってちょうだい。」

私は、それを手に取るか迷った。

受け取ってしまえば、もう旦那様との関係も終わりだ。

「あの……見苦しいのですが。」

「なあに?」

「しばらく考えさせて頂いても……」

そうよ。そんな事今言われても、心の準備ができない。

「考えても無駄よ。もう逢坂の家に、あなたの居場所はないのだから。」

息が止まった気がした。

もう私の居場所はない。

そこでもう旦那様とは会わない方がいいと思った。

「分かりました。明日中には出て行きます。」

「苦労を掛けるわね。」

お姉様は優雅に、紅茶を飲んでいた。

まさかこれが、お姉様と飲む最初で最後の紅茶になるなんて。
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