明治、契約の夜に咲く恋─御曹司の溺れるほどの愛
その時、お春さんが顔を出した。

「お春さん。」

「先生、若い子は好きじゃろうって。」

私は体をビクつかせた。

「変な言い方しないでください。僕は、若い子の将来を思っているだけですよ。」

「じゃったら、この子の将来も思うてやればいい。」

「はぁー……仕方ないな。」

私は顔をパーッと明るくした。

「先生!私、頑張ります!」

いつの間にか私は、水森先生の手を握っていた。


実家には夕方ぐらいに着いた。

「だから反対したんだ。」

弟の誠一は、今回の結果を許していなかったようだ。

「でも大丈夫よ。看護助手の仕事も、もう決めてきたから。」

私は新しい仕事に、ウキウキしていた。

「誠一は何も考えずに、大学校に行きなさいよ。」

私は床に臥せっている母が、呆れているのを他所に、自分の荷物を箪笥の中に入れて行った。
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