運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
「リディアと一緒に、アルナリアの歴史を学んでいるんです。クラリスも興味が?」
「あ……いえ、私も古代語が読めないことはないんですけれど、おもに、詩などを朗読するばかりで」

 自分は周囲より劣っているとでも思っているのか、クラリスは自信なさげにつぶやくと、まぶたを伏せ、羊皮紙へと手を伸ばす。

「これは……?」
「あっ、それは私がいま、本にあった刻印を模写したもので」
「刻印……」

 クラリスは首をひねりながら、羊皮紙を持ち上げ、まじまじと眺める。

「どうかしましたか?」
「……この模様、どこかで見たことがある気がして」
「本当ですか?」

 セレナは驚いて、リディアと顔を見合わせる。

「どこでご覧になりましたのっ? 公爵家に関わるものですのっ?」

 興奮して尋ねるリディアを、クラリスは半ば無視して、首をひねったまま羊皮紙を見つめていたが、突然ハッと顔をあげてリディアを見る。

「公爵家ではありません。これは……」

 クラリスはセレナへと視線を移し、鳥籠の刻印を指差す。

「この模様は、アレク様にある(あざ)によく似ています」
「アレクシス殿下って……、本当に?」

 信じられない。驚いてリディアと目を合わせると、クラリスは少々むきになって答える。

「間違いありません。私たちは小さなころからよく遊んでおりましたから。アレク様は……舌を突き出して無邪気によく私をおからかいになっていましたから、あの舌にある痣を忘れたことはありません」
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