運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
「妙なことを知りたがるんだな」

 あきれを通り越して、彼は愉快げに目を細めた。

 私は愚か者だ。セレナは心の中でつぶやく。舌を見せてほしい……いや、あの鳥籠の模様を見せて、この刻印を知らないかと聞くだけでもよかった。今さら、そんな簡単なことに気づくなんて。今からでも遅くない。質問は撤回して、もっと聞きたいことがあるって言おう。

「あの……」

 身を乗り出そうとしたとき、アレクがそっと顔を背ける。

「アドリアが死んだころだ」
「アドリアって……」
「ああ、アドリア・ハートウェル。俺の五番目の婚約者だ」

 アドリアが亡くなったときですって?

 予想外の答えに、セレナは黙り込んだ。

 五番目の婚約者が亡くなった原因は、イザベラの呪いじゃないかと疑われている。もしかしたら、教皇はそれを確かめるためにアレクをほこらに向かわせた……?

 ざわざわと胸騒ぎがする。知りたい。知らなきゃいけない。本能が騒ぎ立てるみたいにセレナをかき立てる。

 アドリアを殺したのは、イザベラ。

 アレクもそう思っているなら……。アドリアが死んだとき、イザベラは間違いなくほこらにいたのか。それを知りたいのだろうか。しかし、自分にはそれを証明することができない。

 どうしよう……。このまま疑われて……地下牢、なんてことも?

 ぞっとする想像を振り払うように頭を振り、アレクへと目を移すと、なぜか、彼は複雑そうな顔をしていた。

「殿下……?」
「あの、だな、セレナ。……やっぱり、おまえはアドリアが気になるか? いや、かつての婚約者たちが、というべきか……」

 何を誤解したのか、アレクはそうつぶやくと、まるで後悔してるように小さな息をついた。
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