運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
 ほんの少し背筋が伸びる。すると、アレクはテーブルに肘を乗せ、真剣味を帯びたまなざしをする。

「俺は、おまえがイザベラだと思う」
「え……」

 それはあまりにも唐突な告白だった。おそらく、そうだろう。自分でも、そうだと思ってる。それでも、こうもはっきり言われると、逃げ場を失ったような気分になる。

 絶望に似た表情をしただろうか。彼は意外にも、いたわるような目をする。

「セレナは善良なイザベラだとオリオンは言ったが、俺はずっと、おまえはイザベラらしいイザベラじゃないかと思っている」
「……どういう意味ですか?」
「俺の知るイザベラは、きっとおまえのような娘だっただろう。そう思う」
「殿下の知る……」

 セレナは思わず、アレクの口もとへ目を向けた。

 彼がもし鳥籠の刻印を持っていたらそれは、勇者エリアスの生まれ変わりである紛れもない証拠になる。

 頭の中で、あの史書の文言がこだました。

 鳥籠の刻印を持つものが現れたとき、魔女イザベラは復活する──。

 アレクは教皇の予言通りにあのほこらへやってきた。つまり、教皇はアレクを誘導し、意図的にイザベラを復活させることができた……。

 しかし、ありえない。ルミナリア時代の教皇は、エリアスとともにイザベラに立ち向かったはずだ。なぜ、災厄の魔女を復活させる必要が?

 混乱が、セレナの頭を支配する。

「何を考えてる?」

 目をのぞかれて、セレナはハッと息を飲む。

「あ、えっと……」
「話してみろ」

 どうしよう。やけに優しいアレクのまなざしに、急に胸がどきどきして、あわてて尋ねていた。

「あのっ、予言はいつ?」
「予言?」

 アレクはいぶかしそうにした。

「あっ……、教皇様の予言ですっ。イザベラが復活すると予言したのは、いつごろですか?」
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