運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
「おまえの動向はずっと見てきた。かつて災厄をもたらした魔女とは思えないほど誠実で、勉強熱心な上に勝気な情熱もある。だから俺はあえて、善良ではないイザベラと言ったんだ」
「えっと……」

 なんだかすごく褒められてる? 恥ずかしいような気持ちになる。

 しかし、アレクが真面目な顔つきで続けるから、セレナは彼の期待を裏切らないよう、真摯に耳を傾けた。

「鏡の中のイザベラは、おまえとは違う人格を持っている。そう考えるしかないわけだが……」

 災厄の魔女と呼ばれたイザベラは鏡の中にいて、善良なイザベラはほこらに封印されたってことかしら。

「どういうこと?」

 思わず口に漏らすと、アレクも頭を振る。

「なぜ、そんなことが起きているのか、まったくわからない。イザベラが鏡の中にいる理由……、それを示す記録はまだ見つかっていない」
「二千年も前のこととなると、知るのは難しいですよね。口伝で継承されていればいいですが」
「それは俺も考えた。もし、口頭伝承されている可能性があるならば……」

 アレクはあごをあげて、頭上を見上げた。その視線は高く高く上空を向いている。

「天穹聖域……ですか?」
「そうだ。第7代教皇ライナス3世ならば、何か知っているかもしれない」
「でも、なかなかお会いできる方じゃないんですよね?」
「謁見を申し入れているが、まだ叶っていない」
「お忙しいんですね」
「というよりは、気まぐれな方でな。待つしかない」

 気まぐれ……。これはまた、教皇も変わり者なのだろうか。

「では、どうするんですか?」
「どうもできない。だが、こちらも待ってばかりはいられない事情があってな。困っている」
「困るって、何が?」
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