運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
「いつまでこの状況をとめおくのかと、毎晩陛下に呼び出されていてな。これ以上は限界が来ている」
「この状況って? 鏡の中のイザベラを野放しにしてるからですか?」
「いや、まあ……つまり、陛下は婚約者が決まらないことを嘆いているんだ」
「婚約……?」

 少し拍子抜けしてしまう。イザベラの話をしていたのに、よもや、重大な事態が婚約者の選定がうまくいってないこととは。

「しびれを切らした陛下が、六番目の婚約者候補を決めてきた。近いうちにその中から選ぶように言われている」
「……それは、大変ですね。誰だっていいなら簡単ですけど」
「これまではな」

 アレクはそっと息をつく。

「これまでは、誰でもよかったんだ。メアリーだって、生まれながらに決まっていた婚約者だ。陛下が決めた婚約者と結婚するのは、王太子に生まれた俺のさだめ。好きな女と結婚したいと思う日が来るとは考えたこともなかった」

 セレナは目をぱちくりさせた。

「殿下はお好きな人がいるんですかっ?」
「そうも驚かれると傷つくな。……まあ、俺だって多少は好ましく思うこともある」
「え、だって……そんなそぶりもないし、だいたい……そんな人がいるなら、先日のパーティーで求婚されたらよかったのに」

 責めたように聞こえたのか、アレクは少々不機嫌そうに鼻の頭にしわを寄せた。

「パーティーから逃げ出した娘を連れ戻せばよかったか?」
「逃げ出した?」
「もう忘れたとは言わせない。部屋まで追いかけていったあの日のことは覚えてるだろう」

 目を見開いたセレナは、言葉を失って口をぱくぱくさせた。そんな様子を楽しむように、目尻をさげる彼が、あっさりと告白する。

「俺の婚約者にならないか」
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