運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
 王太子としての立派な姿を見ると、悔しいけれど、尊敬の目を向けてしまう。アレクは冷たくて憎らしい人だけど、きっと、話せばわかってくれるはず。そう思わせる信頼感もあった。

 セレナは胸の前でぎゅっとこぶしを握りしめた。おびえてばかりはいられない。もう二度と死の恐怖を味わいたくはないし、好奇心をくすぐるアルナリア王国で、考古学を学びたい。その環境を与えてくれるのは、アレク以外にないだろう。

 街の熱気に包まれながら、アレクを乗せた馬に続き、馬車は頑丈な城壁のある門へと吸い込まれていく。

 その先には、大きな庭園があった。騎士たちは馬を降り、入り口の前で整然と並ぶ。アレクは騎士たちをねぎらうと、出迎えに現れた貴族とともに王城の中へと入っていく。

 取り残されて、セレナはあわてた。てっきり、すぐに尋問が始まると思っていたのだ。すると、騎士たちを解散させたテオが駆け寄ってくる。

「セレナさん、お待たせしました。すぐに城内へご案内します」
「えぇ……いいんですか?」
「はい。客人として丁重に扱うよう、アレク様から申し付けられていますから」
「本当ですか? てっきり、質問攻めにされると思ってて」

 戸惑っていると、テオはくすりと笑う。

「まあ、それは免れないでしょうが、まずは旅の疲れを癒すのが先です。アレク様を誤解されないでください」

 そこまで無慈悲ではないと、かばったようだ。セレナはまだほんの少しの不安をかかえながら、差し伸べられたテオの手を取って馬車から降りた。

「客室へとご案内します。アルナリア城はとても広いですから、俺についてきてください」
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