運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
 門兵の敬礼を受け、セレナはテオに続いて城内へと進んだ。長い廊下を歩いていくと、重厚な造りが肌で感じられる。柱の彫刻ひとつ取っても、その細かな技巧があざやかで、歴史書だけではわからない、荘厳な雰囲気に息を飲んだ。

 客室は、何回か廊下を曲がった先、庭園の中にあった。その入り口で、メイド服を着た若い女の人が、両手を前に添えて頭を下げている。

「俺が案内できるのは、ここまでです。詳しい話はこちらのメイドに聞いてください」

 テオの声に応じるように、メイドが歩み寄ってくる。濃茶の髪を乱れなくまとめた彼女は、セレナよりも少し年上に見える。

「メイドのエマと申します。本日より、身の回りのお世話をさせていただきます」
「あ……、私はセレナ……です。よろしくお願いします」
「はい、セレナ様。母はメイド長を務めております。困りごとなどございましたら、なんなりとお申し付けください。どうぞご安心を」
「そうなんですね。早速、安心しました」

 セレナは胸に手をあてて答える。にこやかにほほえむエマは優しそうだし、メイド長の娘ならば、城内にも詳しいだろう。なんだかんだ、アレクは信頼できる人をつけてくれたようだ。

「それじゃあ、セレナさん、俺はこれで」
「テオさん、ありがとうございました。……あの、また会えますか?」

 すぐにでも行こうとするテオを引き止めるように問うと、彼は「しばらくは王都にいますから、すぐに会えますよ」とさわやかに笑って立ち去った。
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