運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい



 封印……魔物……鏡……影……婚約者の死……

 いまのところ、それらはただの断片にしかすぎない。けれど、みんなが信じているのは、災厄の魔女イザベラが関わっているということだ。

 黒い影は、魔女イザベラのもの。そう仮定して、調べてみるのも悪くはないだろう。

 セレナは少し離れた後ろからついてくる騎士の視線を感じながら、活気に満ちた王都の街を歩いていた。

 公爵邸から帰る際、クラリスは王宮まで馬車を出してくれると言ったが、セレナはやんわりと断った。考えることがたくさんあって、時間をかけて戻りたかったからだ。

 都合のいいことに、監視の騎士がいる。すっかり護衛だと勘違いしているクラリスは、しぶしぶ徒歩での帰宅を認め、送り出してくれたのだった。

 セレナはふたたび、考えごとに集中した。

 ずっと気になっていることがある。イザベラのほこらで目覚めた自分は、もしかしたら、魔女イザベラの復活に関わっているのかもしれないと……。

「セレナさんっ? セレナさんじゃありませんことっ?」

 行き交う人々の流れの中から、突然、陽気な声が飛び込んでくる。

「やっぱりっ! セレナさんですわっ」

 澄み切った空よりも青い髪が、楽しげにくるんと揺れ、満面の笑みを浮かべる彼女が抱きついてくる。

「り……リディアさん?」
< 58 / 177 >

この作品をシェア

pagetop