運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
 すっかりずぶ濡れになってしまったリディアだが、興味深そうに空を見上げている。

「驚きましたね。あの光のせいでしょうか」

 テオが言うと、リディアもうなずく。

「本当ですわ。セレナさん、さっきのはなんだったんですの?」
「な、何って……?」
「気づきませんでしたの? セレナさんの指先から光が出ましたの。空に向かって消えた瞬間、辺りが真っ暗になって雨が降り出しましたのよ」
「私は……何も」

 手のひらを見つめると、テオがくすりと笑う。

「セレナさんが何か不思議な力を使ったのかと思いましたよ。あなたは驚かすのが好きなようだから」
「や、やめてください。そんな冗談……」

 たしかに、これまでにもおかしなことはあった。

 踊れないダンスが急に踊れるようになったのもそう。ほこらでアレクに出会ったあのときも。彼の振り上げた剣が何もしてないのに地面に叩きつけられた。不可思議な現象はすでにあのときから……。

「本当に、冗談なのか?」

 セレナは低い声のする方を見た。そこには、冷たいまなざしでこちらをにらみつけるアレクがいた。

 何……かしら。いつもよりずいぶん機嫌が悪いみたい。

「一部始終、見ていた。これは本格的に、おまえを調査する必要があるようだ」
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