運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
「本日は殿下とお出かけになるとうかがっております。まさか、こんなにもお早いとは……」
最後の方はひとりごとのようだった。困り顔でつぶやいたエマが急いで扉を開けると、腕を組んだアレクが中へ踏み込んでくる。
「おはようございます、アレクシス殿下」
すぐさま椅子から立ち上がり、頭を下げるセレナを、アレクはじろりと眺める。
「準備はできてるな。おまえに紹介したい者が来ている」
「紹介したい人……ですか?」
「朝に弱いくせに、今日ばかりは早朝から張り切ってやってきた。待たせてへそを曲げられても困るからな。ついてこい」
しかめ面でアレクはぼやき、さっさと部屋を出ていく。エマはついてくる気がないのだろう。前で手を重ねて頭をさげるから、セレナは仕方なくひとりで彼の背中を追った。
しかし、アレクが配慮する人物とはいったい誰なのだろう。アレクにはレオン以外の兄弟はいないと聞いているし、国王陛下や王妃が朝に弱いはずはなく……。それにしても、想像がつかない。
しばらく庭園の中を歩き続けていると、やがて高い塀に覆われた広場へと出た。殺風景で、何もない場所だった。
「ここは……?」
立ち止まったアレクの背に向かって尋ねると、後ろから若い男の声がした。
「訓練場ですよ」
驚いて、セレナは振り返った。真後ろに、薄紫の長髪の男がいた。どこか皮肉めいた笑みを浮かべていて、警戒心をいだかせる。
セレナは無意識に身を引いた。いつからいたのだろう。まったく気づかなかった。
「えっと……」
戸惑うと、男は胸に手をあて、うやうやしく頭をさげた。左目を隠していた長い前髪がさらりと揺れ、深い紫の瞳が不穏な色でこちらを見据える。すでに何か試されているような気分になる。
「はじめてお目にかかります、セレナ・べナール様。オリオン・クロフォードと申します」
最後の方はひとりごとのようだった。困り顔でつぶやいたエマが急いで扉を開けると、腕を組んだアレクが中へ踏み込んでくる。
「おはようございます、アレクシス殿下」
すぐさま椅子から立ち上がり、頭を下げるセレナを、アレクはじろりと眺める。
「準備はできてるな。おまえに紹介したい者が来ている」
「紹介したい人……ですか?」
「朝に弱いくせに、今日ばかりは早朝から張り切ってやってきた。待たせてへそを曲げられても困るからな。ついてこい」
しかめ面でアレクはぼやき、さっさと部屋を出ていく。エマはついてくる気がないのだろう。前で手を重ねて頭をさげるから、セレナは仕方なくひとりで彼の背中を追った。
しかし、アレクが配慮する人物とはいったい誰なのだろう。アレクにはレオン以外の兄弟はいないと聞いているし、国王陛下や王妃が朝に弱いはずはなく……。それにしても、想像がつかない。
しばらく庭園の中を歩き続けていると、やがて高い塀に覆われた広場へと出た。殺風景で、何もない場所だった。
「ここは……?」
立ち止まったアレクの背に向かって尋ねると、後ろから若い男の声がした。
「訓練場ですよ」
驚いて、セレナは振り返った。真後ろに、薄紫の長髪の男がいた。どこか皮肉めいた笑みを浮かべていて、警戒心をいだかせる。
セレナは無意識に身を引いた。いつからいたのだろう。まったく気づかなかった。
「えっと……」
戸惑うと、男は胸に手をあて、うやうやしく頭をさげた。左目を隠していた長い前髪がさらりと揺れ、深い紫の瞳が不穏な色でこちらを見据える。すでに何か試されているような気分になる。
「はじめてお目にかかります、セレナ・べナール様。オリオン・クロフォードと申します」