運命に導かれた転生魔女は、呪われた王太子を救いたい
「は、はじめまして、セレナです。あなたは……?」
「魔術師団長のオリオンだ。セレナの魔力を試すよう頼んだ」

 わずかなあいさつすらわずらわしそうに、アレクが話に割って入ってくる。

「私の……魔力ですか?」
「そうだ。昨日、おまえは魔力を発揮した。その力がどれほどのものか調べさせてもらう。もし、アルナリア王国の脅威になると判断した場合はただではすまないと思え」

 セレナは自身の手を見下ろす。指先に灯った青白い光が脳裏をよぎったが、あわてて首を横に振る。

「わ、私、魔力なんて……」
「ないと言うのか? あれほどの雨を降らせておいて」
「それは……」

 私のせいじゃない……と言おうとしたが、そんなことを言ったところで、アレクが納得するはずがなく、黙り込む。

 すると、オリオンが愉快げに肩を揺らした。

「おやおや。婚約者様に手厳しいですね、アレク様は」

 聞き捨てならない言葉に反応して、セレナはアレクと顔を見合わせる。

「違います……っ」
「婚約者だとっ?」

 同時にオリオンを見つめ、叫んでいた。一方、彼はアレクのほおが引きつるのを、楽しむように目を細めた。

「先日のパーティーで、ダンスをお誘いしたとうかがいましたよ」
「だからなんだと言うんだ」
「これまでの婚約者の方々とは、誰一人として手を取ったことがないと聞いておりますが? そんなあなたが自ら誘ったのです。これはもう、特別な関係だと認めたも同然ではありませんか」
「待て、オリオン。あれらたちとのダンスなら、いくらでもしてきた。誤解が過ぎるだろう」

 過去の婚約者たちを、アレクはあれらと言い放った。誰一人として特別ではない。そう言いたかったのかもしれないが、セレナの胸はもやもやした。
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