離婚を切りだしたら無口な旦那様がしゃべるようになりました
「奥様にお手紙です」
「ご苦労様」

 使用人が手紙を持って部屋を訪れ、エレナがそれを受けとった。
 エレナは封筒の差出人を見て表情を曇らせる。

「アリシア様、男爵様からですわ」

 それを聞いたアリシアは表情を強張らせる。
 エレナから手紙を受けとりそれを読んだアリシアは、目を閉じてため息をついた。

「また叔父様がお金を要求してきたわ。今度は投資に失敗して借金を背負ったのですって」
「まあ、懲りないお方ですね」

 叔父はフィリクスが遠征で多くの報酬を得たことを知って金を無心してくる。
 確かに叔父は昔、フィリクスに援助をしていたが、それほど高額ではなかった。侯爵家の借金のほとんどはフィリクス自身が返還したのだから。

「私の両親の遺産を食い潰したのに、まだ足りないのね」

 アリシアは怒りの表情で手紙をぎゅっと握り潰す。

「アリシア様、差し出がましいですが、離婚を急がれるのはもしかして、男爵様の件もあるからですか?」

 エレナの言葉にアリシアはしばし沈黙し、ゆっくりと口を開いた。

「私と縁が切れれば、旦那様は叔父様との縁も切れるわ」

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