離婚を切りだしたら無口な旦那様がしゃべるようになりました
 アリシアの発言を受けて、聴衆の中からグレゴリーにさらなる疑惑が持ち上がる。

「男爵は伯爵家も乗っ取ったのか」
「まさか、伯爵ご夫妻も殺害したのでは?」
「馬車事故と聞いていたが、もしやそれも……」

 彼らの言葉を聞いたアリシアは表情を歪めたが、感情を抑えるように唇を引き結ぶ。
 すでにアリシアの両親の死因を探ることは不可能だ。
 悔しさに拳をぎゅっと握りしめるアリシアに、フィリクスがそっと肩を抱く。

「大丈夫か?」
「はい」

 フィリクスの気遣いの言葉に、アリシアはわずかに微笑んで頷く。

 グレゴリーは騎士たちに引きずられるように出ていく。その様子を見た聴衆の中からこっそり抜け出そうとする者たちがいた。
 どうやら彼らも逃げようとしているようだ。
 すぐさま騎士たちが出入口に立ちはだかった。

 王宮直属法務機関の役人が彼らに向かって言い放つ。

「ここに集まっている者たちは、違法オークションや人身売買に関わっている。罪のある者はすべて捕らえる」

 急に人々が慌てふためき、堂内は混乱に陥った。

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