離婚を切りだしたら無口な旦那様がしゃべるようになりました
 これからずっと夫がそばにいる。
 さすがに一緒に暮らせば何か変わるだろうと思ったが、その期待は見事に打ち砕かれた。
 邸宅内にいてもほとんど会わず、彼は食事も自身の執務室でとる。
 夜会へ出席することもなく、客人が訪れることもない。

 まともに口を利くこともなく1年が過ぎた。

「どうやら私は旦那様に嫌われているどころか、存在さえ否定されているんだわ」

 それならこの家にいる必要などないだろう。
 跡継ぎを作る役目も与えられず、そうでなければお飾り妻としてでも夜会に出席することもない。
 ただ、彼にとってアリシアは無の存在でしかない。

「きっと、叔父から無理やり私を押しつけられて、旦那様は迷惑しているんだわ」

 アリシアは自立の道を目指すことにした。

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