秘密の多い後輩くんに愛されています
華奢に見えて実際は鍛えられた胸板を押し返すけれど、また強く抱き寄せられた。
「……本当は資料室に用なんてないでしょ」
唇が離れた一瞬の隙に言葉を放つ。
「バレた?」
「暁斗がああいう表情をする時は何か裏があるってもうわかるんだから」
「舞花先輩不足で死にそうだったから」
「最近、ちゃんと寝てる? ご飯は食べてる?」
「うん。舞花先輩が作り置きしてくれたおかずが美味しくて食べ過ぎなくらい」
暁斗は仕事が忙しいと偏食になりがちだということを最近知った私は、時折彼の家を訪れては料理の作り置きしていく。
「作家業も忙しいんでしょ。私との時間は無理に作らなくていいから、少しでも身体を休めてね」
「それは無理な話です。舞花先輩との時間が足りないほうがきつい」
私の肩口に頭を埋めて甘える暁斗が愛おしくて、艶のある髪をそっと撫でる。
「俺も資料探すの手伝うから、もう少しだけこのままで」
顔を上げた暁斗と視線が交わり、私たちはもう一度唇を重ねた。