引きこもり令嬢の契約婚約【※番外編更新中です】
 昼下がりのオルセン侯爵邸、ソフィアと妹のエスメが共に読書を楽しんでいるところに、執事に連れられてその男はやってきた。

「本日より、お嬢様方の護衛を担当いたします、レナルド・ホールデンです。どうぞよろしくお願いいたします」

 目から鱗の話に、ソフィアとエスメは顔を見合わせる。そしてエスメは、警戒するように体を縮こませた。
 妹の怯えを見て取ったソフィアは、男の正面に立ち、ゆったりとほほ笑んだ。

「護衛? 聞いていないけれどお父様の差し金?」
「はい!」

 その男は、ソフィアの怪訝な視線にも負けずに、太陽のように笑った。人の警戒心を一瞬でぬぐい取ってしまうその笑顔は、天然のものなのだろう。

(はかりごととかは向いてなさそうだけど)

 それでも、ぱっと目に付く赤毛とたくましい体躯のおかげで、人から侮られることはないだろう。
 父がどんなつもりでこの男を姉妹の元によこしたのかと考え、ソフィアはひとつの答えにたどり着く。

「そう。よろしく。私が長女のソフィアよ。そしてこっちが妹のエスメ」

 エスメは人見知りが激しく、今も読んでいた本で顔を隠すようにして、突然現れたこの男を観察している。

「たち……ってことは、私たちふたりの護衛なのね?」
「はい。登下校にお供させていただきます。また、ソフィア様の夜会での護衛も担当します」
「そう。じゃあよろしく。ホールデン卿」

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