この世の五つの怖い話
「おはようございます」
入社して二日目。
朝からバタバタしている。
「あっ、原野くん。前田さん知らない?」
やっぱり前田さんは来ていないんだ。
「僕もちょっとわからないですね…」
昨日のことはあえて伏せておいた。
「そっか。ありがとう!」
そしてまた、前田さんを探しに行った。
あれは俺だけしか見ていないことだ。
きっと話しても誰も信じてくれないだろう。
事故物件に住んでるってだけで気味悪がられるだろう。
だからどうしても隠し通さなければならなかった。