完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法

15.守りたい

「離婚はしたくないわ⋯⋯私には清十郎さんしかいないもの」
 
 予想はしていた母の答えに私は肩を落とした。
 母が好きなのが父の金だけなら良かった。
 母は自分をシンデレラにしてくれた父の事が大好きなのだ。
 
 父は愛人宅に入り浸り帰ってこないのに、いつもスマホを握りしめてリビングで父の帰りを待っている母は痛々しかった。

 ネットでセレブな家族の円満をアピールする母を見る度、なんとこの人は空っぽなんだと思った。
 東雲亮平の出ている雑誌を見た時に、写真で見た若い頃の父に似ていると感じた。
 きっと、実際に東雲亮平に会って父と比べて、やっぱり父が素敵だと惚れ直してしまっていそうだ。

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