完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法
「そんな事しても、お父様は家に帰って来ないよ! お父様はもうお母様に気持ちはないんだって。愛人さんに夢中なの。変なアピールしてないで、いい加減に気づいてよ」
 私の言葉に母の目が潤み出す。

「気づいてるけど、諦められないの⋯⋯。だって、清十郎さんの隣にいて沢山幸せだったんだもの」
 母は一般的な庶民家庭に育った人だ。それが、ある日SNSを通じて父からメッセージが来た。父と出会ってから物語の主人公になった気分だったらしい。母は結婚しても父へのアピール方法がSNSになってしまっている。

「分かった。じゃあ、私が愛人からお父様を引き剥がしてくるよ。それでも、戻って来なかったら諦めて」
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