完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法
 私は見た目と家柄しか取り柄のない価値のない人間だと自分自身が一番分かっていた。

「やってみろ失敗しても、死ぬわけじゃないんだし」
 私の手の甲を兄が優しく撫でながら、顔を覗き込んでいる。
 彼の瞳には明らかに不安そうな私の顔が映っていた。

 私は新しいことに挑戦するのを怖い。大人しくして柏原家の檻に入ったお嬢様で偶像崇拝のように崇められているのが楽だ。私が逃げようとしているのを兄は気がついている。何の役にも立たない私を必死に守ろうとする兄が私を信じてくれている。

「婚約破棄できても、玲さんは私を追いかけてくる気がする。私が近づくとHIROや奈美子さんを危険に晒してしまうの」

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