完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法
第4章 ハッピーエンドはもぎ取るもの
26.母の反逆
学校の授業で遅くなり、テレビ局への到着が他のメンバーより遅れてしまった時だった。
テレビ局の廊下を走っていたら、角で誰かにぶつかった。
私の元夫で元婚約者で、私を三度身勝手に殺した男だ。玲さんは顔が広くどこに行っても特別扱いされている。彼には入れない場所などないのかもしれない。
「玲さん。こっちに来ないで⋯⋯」
私は玲さんが無言で近づいてきて震え上がって俯いた。
「どうだ? 今や凛音を知らない人間はほとんどいない。もう、諦めろ。ここにも直ぐに他の人間が集まってくるぞ」
聞き慣れた兄の声に顔をあげると、私を守るように玲さんと私の間に兄が立ち塞がっていた。