完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法

27.推しからのプロポーズ

私が見た中で一番綺麗な母がそこにいた。虚栄で加工してキラキラさせても、本当の輝きには勝てないのだ。

 父は壁を弱々しく拳で叩くと一人部屋に戻って行った。
 母は私と兄に慰謝料を元手にセレクトショップでも展開しようかと色々思いを巡らせ語りかけくる。
 全く具体的ではない経営ビジョンに、私はきっと母の事業は失敗するだろうと感じた。

 両親には確かに愛し合ってた時間があった。

 でも、父は常に母を見下していて、その感情は子である私にも伝染していた。
 不倫がなくても、この夫婦はいずれダメになっていた。

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