【1話だけ】皇子妃は空気が読めるはずなのに、なぜか夫の気持ちだけはわからない
「ナツメなら、ソルダシアとラナヴェルの架け橋にもなれるはずだ」
「期待が過剰です!」
四人の兄弟姉妹の中で、自分だけが役に立たないスキルを与えられて生まれてきた。
ほかの姉や兄たちが幼少期から国のために奉仕している間、ナツメは何もできなかった。
王女であっても、有用なスキルもない子どもなら当然のことだった。
兄姉の活躍を目の当たりにするたびに、自分にもできることがあればいいのに、とずっと悔しかった。
成長するにつれ、ほぼほぼ諦めかけていたが、それでも諦めきれない気持ちが常にどこかに隠れていた。
とはいえ!
その16年間分の仕事が巨大なひとつの塊となり、今頭上に降ってきた。
こんな事態は望んでいなかった。
「お父様が事前にラナヴェル併合のことを把握してくれていれば、今回の縁談も潰せていたのではないですか?」
「無理を言うな。遠い大陸の噂など、渾身の力を使ってようやく少し聞けるだけなのだ」
国王は嘆息した。
「父だって、そなたを外国やるのはツラい」
そんなことはとうに分かっていた。
これ以上父を責めることはできなくなってしまった。
「今夜はもう遅い。明日もう一度話そう」
(話すことなんてもう何もないじゃない……)
そのことがどうにも悔しかった。
◻︎
翌日シンナ国王からの返書を受け取った特使は帰国した。
もちろんそこには、第二王女であるナツメをソルダシアに嫁がせる旨が書かれていた──


