真夜中の償い
リアムはマサチューセッツ工科大学に進学した。

21歳の時祖父は休暇で帰ってきたリアムを部屋に呼んで、両親の遺産である保険金を渡してくれた。

25万ドルくらいあった。祖父は手堅い投資でお金を増やしてくれていたのだ。

リアムはそれをもとでに、小さな中古住宅を買って自分で家全体のリフォームをして、庭を整え見違えるようなおしゃれな家に作り替えた。

買った金額の2倍で売ることができた。

それがRKOカンパニーの出発点だった。

リアムは投資をしながら不動産を売り買いして大学を卒業するころには会社の基盤をしっかりと築き上げていた。

経営手腕も天才的なものがあったのだろう、25万ドルはあっという間に200万ドルを超えた。

それから10年リアムはニューヨークに本社を構え戦いの場を世界に移しずっと快進撃を続けている。

今では不動産王という二つ名も頂戴している。

祖父母は故郷のアイルランドのダブリンの郊外に居を移している。

リアムが二人に居心地のいいコテージをプレゼントしたのだ。

祖父は75歳を超えた今でも近所の人に頼まれれば大工仕事を楽しんでやっているようだ。

そんな祖父母がリアムは大好きでいつまでも長生きしてほしいと願っている。

両親が亡くなったときは悲しみのどん底にいたがリアムには祖父母がいてくれた。

でも由里にはたった8歳で、自分を育ててくれる家族は誰もいなかったのだ。

そんなことが彼の心をとらえて離さない。

8歳の由里に会えていたなら何かしてあげられただろうかと思わずにいられない。

由里はリアムに連絡をくれるだろうか、はやる気持ちでリアムは次の仕事にむかうのだった。
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