真夜中の償い
校長先生は謹慎を言い渡したが、院長は
「わかりました。ケガをさせたので当然ですね。ところで由里を階段から突き落とし全治3ケ月のケガをさせた。その生徒にはどんな処罰がおりているのですか?」
と由里の診断書を見せながら尋ねたそうだ。
当然裕司の謹慎はなかったことになった。
裕司はスカッとしたと言って笑っていた。
普段は温厚で物静かな院長だが、いつも子供たちを信頼し何かがあった時には毅然として矢面に立ってくれた。
その子はそれまでは、いつも成績が1番だったのに由里に敵わずにテスト前にケガをしたら、テストが受けられないだろうという短絡的な理由で、由里の背中を思わず押してしまったらしい。
どんなことでも施設の子供たちには世間の風当たりはきつい。
院長先生やスタッフの先生たちはそんな子供たちを、いつも気にかけ守ってくれていた。
そしてその突撃隊長が裕司だったのだ。
だから裕司は小学校でも中学校でもやんちゃ坊主として、学校の先生たちに認識されていた。
でも、由里達施設の子供達には頼りになる兄貴だったのだ。
その話を聞いて洋子もリアムもしんみりしていた。
リアムはその男の子が許せないと言った。
由里や裕司の生きてきた道は辛いものだったのだと思ったのだろう。
でも、その子は由里が松葉杖なしで歩けるようになるまで朝と帰りいつも付き添ってかばんを持ってくれたり、施設の掃除なども手伝ってくれた。
成績はいつも2番だった。
結局一度も由里を抜くことはできなかった。
高校も由里と一緒のところに行ったのだが、由里が1番彼が2番という図式は覆らなかった。
そして1浪して由里と同じ大学に進んで今では裕司の会社のパートナーとして、二人で協力して会社を経営している。
そういうと陽子さんは
「えっ、CFOの笹森君がそのくそ野郎なの?」
洋子は美人なのに口が悪い。
くそ野郎には3人とも噴出した。裕司は
「おいおい洋子、地を出しすぎ」
と言って笑っていた。
「でも彼がそんなことしたなんて信じられない」
「あいつは中学校の時から由里が好きだったんだ。だからずっと由里を追いかけて大学まで行ったんだ。今でも施設には俺と連名で寄付をしてくれてるよ」
彼はもっぱら財務面を担当している。
裕司がCEOで笹森がCFOだ。
人の縁とは不思議なものだ。
でも、由里に好意を持っていたと聞いたリアムは面白くなかったようで少し拗ねた顔が可愛い。
「わかりました。ケガをさせたので当然ですね。ところで由里を階段から突き落とし全治3ケ月のケガをさせた。その生徒にはどんな処罰がおりているのですか?」
と由里の診断書を見せながら尋ねたそうだ。
当然裕司の謹慎はなかったことになった。
裕司はスカッとしたと言って笑っていた。
普段は温厚で物静かな院長だが、いつも子供たちを信頼し何かがあった時には毅然として矢面に立ってくれた。
その子はそれまでは、いつも成績が1番だったのに由里に敵わずにテスト前にケガをしたら、テストが受けられないだろうという短絡的な理由で、由里の背中を思わず押してしまったらしい。
どんなことでも施設の子供たちには世間の風当たりはきつい。
院長先生やスタッフの先生たちはそんな子供たちを、いつも気にかけ守ってくれていた。
そしてその突撃隊長が裕司だったのだ。
だから裕司は小学校でも中学校でもやんちゃ坊主として、学校の先生たちに認識されていた。
でも、由里達施設の子供達には頼りになる兄貴だったのだ。
その話を聞いて洋子もリアムもしんみりしていた。
リアムはその男の子が許せないと言った。
由里や裕司の生きてきた道は辛いものだったのだと思ったのだろう。
でも、その子は由里が松葉杖なしで歩けるようになるまで朝と帰りいつも付き添ってかばんを持ってくれたり、施設の掃除なども手伝ってくれた。
成績はいつも2番だった。
結局一度も由里を抜くことはできなかった。
高校も由里と一緒のところに行ったのだが、由里が1番彼が2番という図式は覆らなかった。
そして1浪して由里と同じ大学に進んで今では裕司の会社のパートナーとして、二人で協力して会社を経営している。
そういうと陽子さんは
「えっ、CFOの笹森君がそのくそ野郎なの?」
洋子は美人なのに口が悪い。
くそ野郎には3人とも噴出した。裕司は
「おいおい洋子、地を出しすぎ」
と言って笑っていた。
「でも彼がそんなことしたなんて信じられない」
「あいつは中学校の時から由里が好きだったんだ。だからずっと由里を追いかけて大学まで行ったんだ。今でも施設には俺と連名で寄付をしてくれてるよ」
彼はもっぱら財務面を担当している。
裕司がCEOで笹森がCFOだ。
人の縁とは不思議なものだ。
でも、由里に好意を持っていたと聞いたリアムは面白くなかったようで少し拗ねた顔が可愛い。