真夜中の償い
由里はこんな過去をもつ自分でもいいのかとリアムに聞いた。

リアムはそんなことは由里を想う気持ちに何の影響もないと断言した。

それよりも,そういう過去を乗り超えて凛と生きる由里を尊敬するといった。

そして、裕司に申し訳ないことをしたので結婚祝いに何かできないかと、由里に相談したのだ。

あと2日だけだけれど裕司たちの泊まっているホテルの部屋を、スイートにアップグレードすると言ってくれた。

そして最終日の夜に4人でデイナーをしたいとリアムが手配してくれた。

偶然にもホテルはRKOの傘下のホテルだったのでスムーズに手配もできた。

由里はホテル代を結婚祝いにするつもりで4つ星ホテルを用意したのだ。

時間があればロングアイランドの家でバーベキューはどうだろうと言った。

裕司たちに確認すると、ぜひロングアイランドの自宅にお邪魔すると言ってくれたので、急遽二人とも仕事のスケジュールを調整することになった。

リアムは先週日本に行っていたので仕事が山積みになっていたらしくケンにブーブー言われたらしい。

それでも裕司達のために時間を作ってくれることがうれしかった。

リアムは由里の兄のような存在なら絶対に会っておきたいと強く思っていたようだ。

2日間は鬼のように仕事をこなしてリアムと由里は、今ロングアイランドの自宅で準備に余念がない。

裕司たちはホテルに迎えの車が行っている。

帰りもホテルまで送っていくように手配してくれているらしい。

4人が揃って紹介を済ませると、リアムは由里を強引に連れ去っていった事のお詫びをしてくれた。

裕司はリアムがスイートにグレードアップしてくれた事と豪華なバラの花が部屋に飾られていた事、また今日自宅に招待してくれた事も感謝していた。

裕司はIT関連の会社を経営していることもあり、リアムの自宅のセキュリテイに興味をもって二人で話し込んでいる。

リアムは日本語で会話位はできる9歳まで日本に居たので日常会話はできるのだ。

でも、読み書きは苦手のようだ。

裕司とリアムは日本語と英語を交えながら話している。

由里は裕司の奥さんの洋子と二人でリビングのソファーに座りおしゃべりを楽しんでいた。

施設での裕司の話を洋子は聞きたがったので、裕司の武勇伝を話して聞かせていた。

とにかく裕司は施設の子供たちの保護者のようで常に学校でいじめられていないかとか、困っていないかと気にかけていた。

由里が中学1年の3学期、クラスの男の子に階段から突き落とされて足首を骨折したことがあった。

裕司はその子を後日呼び出してぼこぼこに殴りつけた。

当然院長が学校に呼び出された。
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