真夜中の償い
由里は笑うしかなかった。
「すごい自信ね。ペントハウスで暮している間、私はシンデレラになった気分だったわ。素敵な王子様と夢のような時間を過ごしていたんだもの。でもどこかでいつもこれは夢なのだと思っていたかもしれないわ。シンデレラの魔法はいつか解けて現実に戻るのよ。そう思っていた気がする。だからあんなにきっぱりとリアムから離れる決断ができたのよ。また夢を見て裏切られて捨てられるのは怖いの。それなら夢は見たくない。現実に働いて夜にたまに見る悪夢におびえてもその方がいいの」
「まだ悪夢は見るの?」
「ええ、時々ね。ペントハウスにいたころは全然見なかったのにね。日本に帰ってきて心細かったり前に進めなくて辛かったりすると悪夢がやってきて辛かったわ。なるべく眠る時間を少なくして、あれだけ好きだった料理もする気がしなくてずいぶんと痩せてみっともなかったわ。そんな時笹森君と母校の中庭で出会ったの。私たち、ユウ兄と笹森君と三人で良くそこでランチしたり話し込んだりしていたの。あまり人の来ない穴場なのよ。彼は朝早くやお昼や午後にも何度も探しに来ていてくれたらしくて、ある日の午後に見つけてくれたの。事情はユウ兄から聞いて知っていたらしいけど何も言わず優しく抱きしめて泣かせてくれたのよ。ニューヨークを出てから誰にも何も言わずひたすら息をひそめて日々をやり過ごしていたから思いっきり泣いてなかったのよね。笹森君に我慢しないでちゃんと泣くんだと言われて声をあげて泣いたわ。20分くらい泣いていたわ。笹森君はその間ずっと抱きしめて背中をさすってくれてた。人の優しさと温かさを久しぶりに感じてやっと顔を上げて前を向けたの。それからちゃんと食事をして身の回りにも気を付けて体重も少し戻ってみられるようになったみたい。笹森君に会ったときは俺の知る限り最大のブス由里だって言われたわ。それから笹森君は週2回ぐらい会いに来てくれて、食事に連れて行ってくれたり買い物に付き合ってくれたり遊園地にも行ったっけ、彼のおかげで一歩を踏み出せたのよ。感謝しかないわ。ユウ兄にも言わずにいてくれた。もう少しリアムのことが吹っ切れたら自分から会いに行くと言ったの。どうしてもユウ兄に会うとリアムを思い出しちゃうから今ホテルの仕事をしてるでしょうユウ兄と」
そこまで話して由美はウーロン茶を一気に飲んだ。久しぶりに話過ぎてのどがカラカラだった。
「お腹すいたわ。食べましょう。お店の人に申し訳ないわ。ここの中華おいしいのよ」
二人は料理に箸をつけ始めた。暫くは黙々と食べた。リアムもお腹がすいていたようだ。
「由里を支えてくれたのならよかったけど。僕にしたらすっきりしない。必死で由里の居場所を探しているのもリリアとは結婚なんかしないことや由里の誤解を解きたいと思っていたのも、彼は知っていたはずだから、ユウ兄はとにかく由里を探すことが第一だと思ってくれていたんだ。由里を見つけて由里と話してみて僕に連絡するかどうかを決めると、言っていたからね。二人でこの前の大学の同窓会まで行ってくれたんだよ。ひょっとして由里が来るかもしれないからと言って、でもその同窓会がきっかけで頼んでいた調査員がここ中華街で由里を見かけたらしい。はっきりとは断言できず後もつけられずあやふやだったけど、それを聞いて僕は2週間休みを取ってここを歩き回っていたんだ。今日で5日目だ。グランマが運命の人なら強く望めばきっと再会できると言ってくれたんだ。きっと由里を見つけて今度こそ離しちゃだめだと言っていたよ。だから5日間由里、由里って心の中で呼び続けながら歩いていたんだ。やっぱり会えた。由里は僕の運命の人なんだよ。僕のところに帰ってきてくれるね」
そういわれて由里はぽろぽろと涙を流し
「グランマに会いたいわ」
と言って泣き崩れた。
リアムは由里を抱きしめて何度も何度も謝って愛していると言い続けた。
リアムは由里を滞在中のホテルに連れて帰ると言ってきかなかった。
一時も離してなるものかと手を握り締めて、トイレに立つときもトイレの前で待っていると言って由里を呆れさせた。
由里はもう観念してリアムのホテルに泊まることにした。
横浜から東京のホテルまでタクシーで行ったのには、由里も驚いたがそんなことはお構いなくタクシーの中で、ケンや裕司に電話をかけて由里を見つけたと嬉しそうに報告していた。
裕司には電話を変わってしっかりお小言を頂戴した。
でも、赤ちゃんが出来た事のお祝いも言えた。
笹森がリアムと会った時点で裕司にすべて話してあったらしい。
裕司は笹森の気持ちもわかるから怒るに怒れないと言っていた。
「すごい自信ね。ペントハウスで暮している間、私はシンデレラになった気分だったわ。素敵な王子様と夢のような時間を過ごしていたんだもの。でもどこかでいつもこれは夢なのだと思っていたかもしれないわ。シンデレラの魔法はいつか解けて現実に戻るのよ。そう思っていた気がする。だからあんなにきっぱりとリアムから離れる決断ができたのよ。また夢を見て裏切られて捨てられるのは怖いの。それなら夢は見たくない。現実に働いて夜にたまに見る悪夢におびえてもその方がいいの」
「まだ悪夢は見るの?」
「ええ、時々ね。ペントハウスにいたころは全然見なかったのにね。日本に帰ってきて心細かったり前に進めなくて辛かったりすると悪夢がやってきて辛かったわ。なるべく眠る時間を少なくして、あれだけ好きだった料理もする気がしなくてずいぶんと痩せてみっともなかったわ。そんな時笹森君と母校の中庭で出会ったの。私たち、ユウ兄と笹森君と三人で良くそこでランチしたり話し込んだりしていたの。あまり人の来ない穴場なのよ。彼は朝早くやお昼や午後にも何度も探しに来ていてくれたらしくて、ある日の午後に見つけてくれたの。事情はユウ兄から聞いて知っていたらしいけど何も言わず優しく抱きしめて泣かせてくれたのよ。ニューヨークを出てから誰にも何も言わずひたすら息をひそめて日々をやり過ごしていたから思いっきり泣いてなかったのよね。笹森君に我慢しないでちゃんと泣くんだと言われて声をあげて泣いたわ。20分くらい泣いていたわ。笹森君はその間ずっと抱きしめて背中をさすってくれてた。人の優しさと温かさを久しぶりに感じてやっと顔を上げて前を向けたの。それからちゃんと食事をして身の回りにも気を付けて体重も少し戻ってみられるようになったみたい。笹森君に会ったときは俺の知る限り最大のブス由里だって言われたわ。それから笹森君は週2回ぐらい会いに来てくれて、食事に連れて行ってくれたり買い物に付き合ってくれたり遊園地にも行ったっけ、彼のおかげで一歩を踏み出せたのよ。感謝しかないわ。ユウ兄にも言わずにいてくれた。もう少しリアムのことが吹っ切れたら自分から会いに行くと言ったの。どうしてもユウ兄に会うとリアムを思い出しちゃうから今ホテルの仕事をしてるでしょうユウ兄と」
そこまで話して由美はウーロン茶を一気に飲んだ。久しぶりに話過ぎてのどがカラカラだった。
「お腹すいたわ。食べましょう。お店の人に申し訳ないわ。ここの中華おいしいのよ」
二人は料理に箸をつけ始めた。暫くは黙々と食べた。リアムもお腹がすいていたようだ。
「由里を支えてくれたのならよかったけど。僕にしたらすっきりしない。必死で由里の居場所を探しているのもリリアとは結婚なんかしないことや由里の誤解を解きたいと思っていたのも、彼は知っていたはずだから、ユウ兄はとにかく由里を探すことが第一だと思ってくれていたんだ。由里を見つけて由里と話してみて僕に連絡するかどうかを決めると、言っていたからね。二人でこの前の大学の同窓会まで行ってくれたんだよ。ひょっとして由里が来るかもしれないからと言って、でもその同窓会がきっかけで頼んでいた調査員がここ中華街で由里を見かけたらしい。はっきりとは断言できず後もつけられずあやふやだったけど、それを聞いて僕は2週間休みを取ってここを歩き回っていたんだ。今日で5日目だ。グランマが運命の人なら強く望めばきっと再会できると言ってくれたんだ。きっと由里を見つけて今度こそ離しちゃだめだと言っていたよ。だから5日間由里、由里って心の中で呼び続けながら歩いていたんだ。やっぱり会えた。由里は僕の運命の人なんだよ。僕のところに帰ってきてくれるね」
そういわれて由里はぽろぽろと涙を流し
「グランマに会いたいわ」
と言って泣き崩れた。
リアムは由里を抱きしめて何度も何度も謝って愛していると言い続けた。
リアムは由里を滞在中のホテルに連れて帰ると言ってきかなかった。
一時も離してなるものかと手を握り締めて、トイレに立つときもトイレの前で待っていると言って由里を呆れさせた。
由里はもう観念してリアムのホテルに泊まることにした。
横浜から東京のホテルまでタクシーで行ったのには、由里も驚いたがそんなことはお構いなくタクシーの中で、ケンや裕司に電話をかけて由里を見つけたと嬉しそうに報告していた。
裕司には電話を変わってしっかりお小言を頂戴した。
でも、赤ちゃんが出来た事のお祝いも言えた。
笹森がリアムと会った時点で裕司にすべて話してあったらしい。
裕司は笹森の気持ちもわかるから怒るに怒れないと言っていた。