「好き」があふれて止まらない!
「えっと⋯⋯?」
「昨日、比高のルーズリーフを持ち帰ったんだけど」
「や、やっぱり我妻くんが持っててくれたんだ」
ルーズリーフが見つかってひとまずは安心。
だけど、今度は小説を読まれたんじゃないかって不安が襲ってくる。
「返すからついてきて」
我妻くんはそう言うと視線を廊下へと向けた。
「へっ?」
今、返してくれるんじゃないの?
あっ、ここで我妻くんがわたしにルーズリーフを渡したらみんなが不思議に思うから?
でも、我妻くんとふたりで教室を出ていったほうが後々、騒ぎになるような⋯⋯。
わたしと違って周りの様子なんて一切、気にしない我妻くんは先に教室から出ていってしまった。
ル、ルーズリーフ! わたしの小説!
返してもらわなきゃ!
ヒソヒソ話をするクラスメイトたちの視線を避けて、わたしは彼の背中を追った。