「好き」があふれて止まらない!
書けないラブソング【我妻side】
「今日は次やる新曲の話からするか」
放課後、次の曲作りのためにMEBIUSのメンバー全員が音楽室へと集まった。
MEBIUSは一学年上の千里がベース、同い年の新がドラム、俺がボーカル兼ギターを担当する三人組のバンドだ。
俺と新が小学六年生のときに結成。
中学生になってからはライブハウスに立たせてもらったり、自分たちで配信やCDの販売もしたりしている。
軽音部とは別に活動をしているから部室は使えない。
けれど、校長先生が特別に旧校舎にある音楽室の使用を許可してくれた。
そこで毎日のように曲作りや練習に励んでいる。
今日は次の曲に向けての話し合い。
MEBIUSは全楽曲の作詞・作曲を俺と千里が手がけている。
「俺のほうは何曲か作ってみたけど、奏人はどう?」
「俺も何曲か作ってみたけど、どれもしっくりこなかったんだよな。でも、昼休みにサビだけ浮かんだメロディーがあって⋯⋯」
鞄から五線譜の入ったルーズリーフを手に取り、昼休みに書いた楽譜を探す。
曲ごとにルーズリーフを分けていると、一枚だけ文章が書かれている物があった。