温泉街を繋ぐ橋の上で涙を流していたら老舗旅館の若旦那に溺愛されました~世を儚むわけあり女と勘違いされた3分間が私の運命を変えた~
「すまなかった。すずの気持ちを考えず、俺の思いばかり押し付けていた。俺は、すずが笑ってくれていたらそれでいい。できれば俺が笑わせたいが、すずにその気がないなら──」
抱きすくめられ、勘違いをしている一鷹さんの必死な様子を、腕の中で愛おしく感じる。
貴方をおいてどこかに行くわけないのに。
「好きです」
一鷹さんの背に両手を回したら、すんなりと言葉が出てきた。
顔を上げると、驚いた顔の一鷹さんが私を見つめていた。
「一鷹さん、私でも女将のようになれるかな?」
私をお嫁さんにしてくださいと伝える前に、再び強く抱き締められた。温もりに覆われる。
「なれる。湯乃杜一、いいや、世界一幸せな女将に俺がしてみせる。安心して、俺の妻になってくれ」
二度目のプロポーズは、粉雪がちらつき始めた結び橋の上だった。
見つめ合い、気恥ずかしさに頬を熱くして「はい」と応えれば、一鷹さんは今まで見たことないくらい無邪気な笑顔になった。
大きな手が私の両頬を包み込む。
そっと目蓋を閉じると、雪を溶かしそうなくらい熱いと息が唇に触れた。


